KARTEとKARTE Craftでユーザー情報の活用の幅が広がる話 (後編)

<html><head></head><body>初めまして。プレイドでエンジニアをしている矢澤と申します。私はEcosystem Depertmentという部署で弊社が提供するKARTEというサービスを拡張するための機能開発をしております。これまでサーバーサイドAPIやWebhookといった外部連携機能を開発してきましたが、このたび新たに KARTE Craft という機能をベータ版として提供開始しました。
<a href="https://ecosystem.plaid.co.jp/product/karte-craft" target="_blank" rel="noreferrer">KARTE Craft</a>
KARTE Craft は KARTE に FaaS 的な機能を統合した Craft Functions を中心に構成されるもので、KARTE内で発生する様々な事象をきっかけに汎用のプログラムを実行することができます。
<img src="https://ik.imagekit.io/plaid/08a1c2d0-2adf-41b3-89ee-d8fdb27056bb/craft-overview.png" alt="craft-overview.png">
この機能はKARTEの拡張性を高める一方でプログラムを自前で作成する必要があるため、普段KARTEをご利用いただいているマーケティング・カスタマーサクセス領域の方にはハードルが高いかもしれません。そうなるとエンジニアの力を借りることになるかと思いますが、エンジニアの方からすれば「KARTEとは何者？何が美味しいの？」という状態かもしれません。
そこで、今回は主にサービスを開発されているエンジニアの方向けに、
<ul>
<li>KARTEとは何者？</li>
<li>KARTEの技術的な特徴</li>
<li>KARTE Craftはどのような立ち位置のサービスなのか</li>
</ul>
というテーマでKARTEとKARTE Craftをご紹介しようと思います。エンジニア的な視点でKARTEってなんだか面白そうだぞ、という感覚を持っていただければ幸いです。
この記事は前後編の前編です。後編では実際にKARTE Craftを使ってKARTEで収集したユーザー情報をBigQueryに書き込む仕組みを作ります。
<h1 id="KARTEとは？">KARTEとは？</h1>
そもそも「KARTE」とは何者でしょうか。KARTEは「CX（顧客体験）プラットフォーム」を名乗っています。
<a href="https://karte.io/" target="_blank" rel="noreferrer">CX（顧客体験）プラットフォーム KARTE（カルテ）</a>
これを少し噛み砕くと、
<ul>
<li>Webサイト・サービスを訪問する顧客を深く知るための機能 = 顧客を「知る」機能</li>
<li>顧客に合わせたコミュニケーションを行う機能 = 顧客に「合わせる」機能</li>
</ul>
の両面を持つ、顧客体験の向上に役立つサービス群という意味になります。
「知る」機能では、Webサービスを訪れるユーザーの行動の一つひとつをイベントとして収集し、ユーザーの行動を時系列や統計データとして分析できるようにします。この機能によって、サービス内の一人ひとりのユーザーの行動をリアルタイムに分析することができます。
「合わせる」機能はWebポップアップ接客（バナー、アンケートなど）、チャット、メール配信およびプッシュ通知など、様々な種類があります。「知る」機能で取得したユーザーの行動変化をトリガーに、顧客にとって最適なコミュニケーションが取れるようになっています。
<img src="https://ik.imagekit.io/plaid/7dcf3909-6511-43ae-b22f-02a00d58a782/popup_example.png" alt="popup_example.png">
<h1 id="KARTEがユーザーを「知る」仕組み">KARTEがユーザーを「知る」仕組み</h1>
「知る」機能は「合わせる」機能の支えになる機能であることから、KARTEにおける重要な機能と考えることができます。「知る」機能の中でも特にコアになるのがユーザー情報の解析エンジンです。ここでは、KARTEがどのようにユーザーの情報を取得して解析しているのかを見ていきましょう。
KARTEがユーザーの情報を取得、解析するまでの流れを図にしてみました。図を見ながら流れを追ってみます。
<img src="https://ik.imagekit.io/plaid/a7ab86d6-af19-4beb-86c3-9005933cbe3d/karte_customer_data_process.png" alt="karte_customer_data_process.png">
<ul>
<li>（準備）KARTEを利用するWebサイトに script タグを挿入します。</li>
<li>scriptタグに含まれるプログラムによって、Webサイトに訪問したユーザーの情報がKARTEに送信されます。
<ul>
<li>ここで送信する情報の一つひとつを「イベント」と呼びます。</li>
<li>送信するイベントのスキーマは自由に設定できます。</li>
</ul>
</li>
<li>KARTEはイベントを受け取り、そのイベントを解析してユーザー単位の統計値を更新します。これを「ユーザー情報」と呼びます。</li>
<li>ユーザー情報の変化や特定のイベントをトリガーにWebポップアップやプッシュ通知などのコミュニケーション機能（「アクション」と呼びます）が作動します。</li>
</ul>
<img src="https://ik.imagekit.io/plaid/3c12b929-7d77-49fb-8f2a-343bb443fb81/karte_event_customer_data.png" alt="karte_event_customer_data.png">
つまり、KARTEはWebサイトに埋め込んだタグ経由でユーザーの「イベント」を取得し、解析エンジンでリアルタイムに解析し、「ユーザー情報」として使えるようにします。そして、こうして得られた「ユーザー情報」や「イベント」をトリガーに「アクション」を発火します。
KARTEの強みはこのリアルタイム解析エンジンです。スクラッチで開発しており、スキーマレスなイベントを高速に処理できます。強力な解析エンジンがあることで、Webサービスに訪れるユーザーの統計情報をリアルタイムに解析してコミュニケーションに繋げることができるのです。
<h1 id="KARTE Craft">KARTE Craft</h1>
KARTE Craft は KARTEにFaaS機能を統合した Craft Functions を中心に構成されます。Node.jsのコードをデプロイすることで、KARTEで発生する様々な事象をトリガーにプログラムを動かせます。
KARTE Craftは以下の特徴があります。
<ul>
<li>ユーザーが作成した任意のNode.js 18プログラムを実行することができる。</li>
<li>KARTEの解析エンジンによって、リアルタイムに変化するユーザー情報をトリガーにできる。また、イベントもスキーマレスなので、自由度の高いトリガー設計が可能。</li>
<li>イベント以外にもチャットメッセージの送受信やデータ連携機能のジョブ開始終了など、KARTEのコミュニケーション機能にまつわる様々な事象もトリガーに使える。</li>
</ul>
KARTE Craftを使えば、例えば次のようなことが実現できます。
<ul>
<li>KARTEで解析したユーザー情報を自身のアプリケーションのダッシュボードに適用する</li>
<li>ユーザー情報の変化に基づいて外部サービスから情報を取得し、自身のサービスに適用する</li>
</ul>
これらの例から分かる通り、KARTE CraftはKARTEのリアルタイムなイベント解析結果を外部に連携したり、外部のデータを使ったより発展したコミュニケーションを実現します。
<h2 id="デベロッパーから見た KARTE Craft の立ち位置">デベロッパーから見た KARTE Craft の立ち位置</h2>
エンジニアの方からすると、AWS LambdaやGoogle CloudのCloud Functions、Azure Functionsなど主要なクラウドプロバイダーがFaaSを提供している中で、プレイドがFaaSを機能に組み込む理由は無いように見えるかと思います。それでもKARTE Craftを開発したのは、KARTE Craftがあることで、KARTEに閉じたユーザー情報解析エンジンをユーザーアプリケーションのバックエンドとして提供できると考えたためです。
KARTEはユーザー情報の解析からフロントエンドへのコンテンツ配信まで一貫して提供しているので、ある種完結したプラットフォームになっています。このプラットフォーム内で起きる事象をそのまま外部に露出することでもアプリケーションでの利用は可能です。しかし、KARTEとシームレスにつながるプログラム実行基盤を備えることで、KARTEの解析エンジンのパワーがより簡単に扱えるようになります。
例えば、WebhookではKARTEのイベントをトリガーに特定のURLにメッセージを送信できますが、送信したメッセージを処理する仕組み (AWS LambdaやZapier Appなど) は自前で準備する必要があります。ここをKARTE Craftとして吸収することで、自前でのリソース作成の煩雑さを減らします。
この考え方はFirebaseとCloud Functionの関係に似ています。Firebaseはモバイル/Webアプリケーションの提供に必要なバックエンド機能を提供するサービスです。Firebaseはプログラム実行環境としてCloud Functionsを統合しており、Firebaseの様々なトリガーとCloud Functionsがシームレスにつながっています。KARTEとKARTE Craftも同じ関係で、KARTE内で発生するトリガーとプログラム実行基盤をシームレスにつなぐことで、ユーザー情報解析エンジンを別のアプリケーションから簡単に利用できるようにします。
<h2 id="マーケター・カスタマーサクセスから見たKARTE Craftの立ち位置">マーケター・カスタマーサクセスから見たKARTE Craftの立ち位置</h2>
KARTE Craftはイベント解析エンジンをバックエンドとして提供することを目的としていますが、副次的な効果として、KARTEユーザーが抱える「ちょっとしたことをやるためのコンピューティングリソース確保のハードルが高い」という問題も解決できます。
これまではシンプルな連携機能のみを提供していたため、カスタマイズされた処理を実装するためにはクラウドサービスを使ってコンピューティングリソースを立ち上げる必要がありました。そのため、社内IT部門やエンジニア部門といった社内の関係者との同意を得る必要性が生じ、スピード感のある施策実現の課題となっていました。
プログラミングの知識が必要となるため関係者や弊社カスタマーエンジニアの力を借りる必要はありますが、KARTEにプログラム実行環境を備えることでサーバーインフラを準備するための手間は無くなります。結果、込み入った処理を比較的簡単に実装できるようになります。
<h1 id="まとめ">まとめ</h1>
今回はエンジニアの方向けにKARTEのコア技術である解析エンジンとKARTE Craftについて紹介しました。スキーマレスかつリアルタイムなユーザー情報解析機能にFaaS的な機能が統合されることで、KARTEをユーザーの状態変化を捉えるバックエンドとして利用できるようになることを期待します。
この記事は前後編の前編です。後編では、実際にKARTEのイベントをトリガーにFunctionを動作する手順を紹介いたします。 
<a href="https://solution.plaid.co.jp/karte-craft-improve-customer-data-utilization-2">KARTEとKARTE Craftでユーザー情報の活用の幅が広がる話 (後編)</a>
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<li><a href="https://recruit.plaid.co.jp/requisitions/ecosystem-engineer" target="_blank" rel="noreferrer">Ecosystem Engineer | 募集ポジション | 株式会社プレイド</a></li>
<li><a href="https://recruit.plaid.co.jp/requisitions/general-customer-engineer" target="_blank" rel="noreferrer">General Customer Engineer | 募集ポジション | 株式会社プレイド</a></li>
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<li><a href="https://blog.plaid.co.jp/n/n6d87538d003f" target="_blank" rel="noreferrer">幅広く活用できるプロダクトの価値を顧客に届ける「カスタマーエンジニア」の道を選択した3人のキャリアを聞きました｜PLAID</a></li>
</ul>
</body></html>

KARTE CraftはKARTE内で発生する種々のイベントをきっかけに汎用のプログラムを実行します。

KARTE Craftの概要

KARTEのユーザーデータ解析の仕組みとKARTE Craftの概要を紹介します。

KARTEとKARTE Craftでユーザー情報の活用の幅が広がる話 (前編)