こんにちは、Customer Engineerの神谷です！この前、閉店間際のスーパーで生のブラックタイガーが半額になっていたので、買って帰って翌日にエビチリを作りました！ブラックタイガーはデカくて食べ応えがありますし、その頭と殻を使ってエビ油も作ったんですが、それを入れると旨さ倍増ですね。エビ油は、無邪気にチャーハンとかラーメンに入れるのもオススメです。

さて今回は、Craft FunctionsからSearch Console APIとPageSpeed Insights APIを利用して、SEO相関分析レポートを作成する方法をご紹介します。前提として、Search Console（以下、サーチコンソール）とPageSpeed Insights（以下、ページスピードインサイト）の知識が必要になるため、あまり詳しくないという方は、前者はこちらの記事の冒頭、後者はこちらの記事の冒頭部分をまずご覧ください。

SEO相関分析レポートとは？

サーチコンソールとページスピードインサイトの概要をご理解いただけたら、話を進めていきましょう。今回はその2つのAPIを利用してSEO相関分析レポートを作成しますが、その言葉だけを聞いてもどんなものかイメージが湧きづらいと思うので、まず最初にアウトプットをお見せします。

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このように、記事のURLごとにそのタイトルやディスクリプション、サーチコンソールから取得した掲載順位などのデータ、ページスピードインサイトから取得したコアウェブバイタルのスコアをGoogleスプレッドシート（以下、スプレッドシート）に出力しています。これを使うと、コンテンツの状況を様々な面から見て改善策を考えていくことができます。具体的には例えば、以下のような示唆が今回のSEO相関分析レポートから得られると思います。

タイトルとCTRの相関性

例えば、掲載順位がそれなりに高いのにCTRが低い記事があったとします。せっかく高い順位にいてもあまりクリックされていないということは、タイトルに魅力がないからかもしれません。ユーザーがクリックしたくなるようなタイトルに変更することで、CTRが向上し、同じ掲載順位でも流入数を増やせる可能性があります。

掲載順位とコアウェブバイタルの相関性

掲載順位がそこまで低いわけではないものの、コアウェブバイタルのスコアに要改善・不合格の項目があったとします。昨今のSEO対策では、コアウェブバイタルのスコアも重要な指標の1つなので、そこを改善すればそれだけで掲載順位が上がるかもしれません。なお、2024年3月からコアウェブバイタルの指標が1つ変わる予定ですが、その詳細はここでは割愛します。

そもそものメタ要素の課題点を見つけやすい

今回はサーチコンソールから取得したURLを元に、Node.jsというプログラミング言語で使用できるツールを使って、そのページのタイトルやディスクリプションなどのメタ要素も取得しています。これはサーチコンソールやページスピードインサイトでは取得できないもので、こうしてメタ要素を見てそこに不備や課題点が発見されれば、すぐに修正に取り掛かれるでしょう。意外にメタ要素まで全てちゃんとできているところは少なく、長すぎたり短すぎたり、あるいはそもそもまともなものが入っていないとか、そういったことはよくあります。

このように、サーチコンソールとページスピードインサイトのAPIを組み合わせることで、コンテンツの状況を多面的に見られてそこから改善策を考えていけることが、おわかりいただけたと思います。そんなに悪くないけど、もっと数字を伸ばせるはずというような、まだ伸び代のありそうなコンテンツの炙り出し及び、その改善策を考えやすいですね。どうしてもGUIだと決まった項目しか確認できないものの、こうやってAPIを使えば、それらの組み合わせや表現を自由に変えられるのもいいところです。

アウトプットイメージ

ここまでで、今回作成するSEO相関分析レポートの概要と、それを作成する意義についてご理解いただけたと思うので、改めて最終的なアウトプットを見てみましょう。

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1番左にURLがあり、その横にメタ要素、更にその横にサーチコンソールから取得した表示回数や掲載順位などのデータ、最後にページスピードインサイトから取得したコアウェブバイタルのスコアが並びます。コアウェブバイタルのスコアに関しては、スプレッドシートの条件付き書式を使って色付けすると、より状況が把握しやすくなるでしょう。

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また、構成図は上の通りです。登場人物がやや多いものの、処理自体はシンプルで、Craft Functionsを起動して順番に処理を実行していき、最後にそれをスプレッドシートに出力しているだけです。

注意点

前提として、次の点に注意をしてください。

ページスピードインサイトのAPIには、1日のリクエスト数に上限があります
- 後ほど、実際の手順のところでも改めて説明しますが、ページスピードインサイトのAPIには1日25,000回のリクエスト上限があります
- また、1日で25,000回を超えなくても、一気に大量のリクエストを送るとエラーが出る可能性があります
- そこでサーチコンソールからURLを抽出する際に全てではなく、表示回数や掲載順位で何かしらの絞り込み条件をつけると、ページスピードインサイトの処理を実行する際に、エラーが出る可能性を減らせるでしょう

設定手順

設定の手順は次の通りです。

Googleサービスアカウントを作成する
Search Console API・PageSpeed Insights API・Google Sheets APIの3つを有効化する
GCPプロジェクトでAPIキーを取得する
Googleサービスアカウントにサーチコンソールの権限を付与する
Googleサービスアカウントに対象スプレッドシートへの権限を付与する
GoogleサービスアカウントのJSONキーファイルの中身を Craft Secret Manager に登録する
Search Console APIとPageSpeed Insights APIを利用してSEO相関分析レポートを作るためのCraft Functionsを作成する

順番に見てみましょう。

1. Googleサービスアカウントを作成する

GoogleのサービスでAPIを利用するために、Googleサービスアカウントを作成します。

Google Cloudのコンソール画面を開く
- アカウントやプロジェクトが無い場合は作成してください
[IAMと管理 > サービスアカウント > サービスアカウントを作成] から適当な名称のサービスアカウントを作成

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作成したサービスアカウントを選択し、[キー > 鍵を追加 > 新しい鍵を作成] からJSON形式のキーファイルをダウンロード

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ダウンロードしたキーファイルは、後の手順で利用します。

2. Search Console API・PageSpeed Insights API・Google Sheets APIの3つを有効化する

続いて、Google Search Console API・PageSpeed Insights API・Google Sheets APIを有効化します。その利用にあたっては、GCPプロジェクトを利用する必要があります。

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適当なGCPプロジェクトを作成または選択し、[APIとサービス > 有効なAPIとサービス > APIとサービスの有効化またはライブラリ] からGoogle Search Console API・PageSpeed Insights API・Google Sheets APIの3つをそれぞれ検索し、有効化します。

3. GCPプロジェクトでAPIキーを取得する

続いて同じGCPプロジェクト内で、APIキーを取得する必要があります。

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APIとサービス > 認証情報の順にクリックします
上の方にある認証情報を作成をクリックし、APIキーを選択します
するとAPIキーが生成されるので、それをコピーします

取得したAPIキーはCraft Functions作成時に必要なので、忘れずに取っておきましょう。

4. Googleサービスアカウントにサーチコンソールの権限を付与する

Google Search Console APIを有効化して、サービスアカウントのjsonキーを取得しても、それだけではGoogle Search Console APIは使えるようになりません。通常のGoogleアカウントにサーチコンソールの権限を付与するのと同様に、サービスアカウントにもサーチコンソールの権限付与が必要です。

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サーチコンソール左側のメニューから、設定を開きます
そこのユーザーと権限をクリックし、サービスアカウントのメールアドレスを入力し、フル権限を選択して追加します

もし皆さんが、サーチコンソールの管理者権限を持っている場合は、ご自身でサービスアカウントへの権限付与が可能なはずです。しかし上記の画面のようにユーザーと権限が設定の中になく、他者への権限付与ができない場合は、管理者に権限付与を依頼してください。

5. Googleサービスアカウントに対象スプレッドシートへの権限を付与する

Google Sheets APIを有効化してサービスアカウントのjsonキーを取得しても、個別のスプレッドシートに対して自由にアクセスできるわけではありません。スプレッドシートごとに、閲覧権限や編集権限を付与する必要があります。

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右上の共有をクリックします
Googleアカウントに権限を付与するのと同様に、サービスアカウントのメールアドレスを入力します
権限には、編集者を指定してください

6. GoogleサービスアカウントのJSONキーファイルの中身を Craft Secret Manager に登録する

Googleサービスアカウントの認証情報をCraft Functionsから安全に利用するために、Craft Secret Manager に登録します。

[Craft > シークレット] からシークレットを新規作成
[名前] に、わかりやすい名前を入力
ダウンロードしたJSONキーファイルの中身を [シークレットの値] にそのまま入力し、作成
シークレット名をメモしておく

7. Search Console APIとPageSpeed Insights APIを利用してSEO相関分析レポートを作るためのCraft Functionsを作成する

Craft Functionsのファンクションを作成します。作成手順は次の通りです。

[Craft > ファンクション > 新規作成 > テンプレートから作成] を選択
「 Craft FunctionsからSearch Console APIとPageSpeed Insights APIを利用して、SEO相関分析レポートを作成する 」というテンプレートを検索し[取得]ボタンをクリック
[反映] ボタンをクリック
[変数] タブで次の変数の値を設定する
- SERVICE_ACCOUNT_KEY_SECRET
  - 利用するGoogleサービスアカウントのJSONキーを登録したシークレットの名前です
- GCP_API_KEY
  - GCPプロジェクトで発行したAPIキーです
- SITE_URL
  - 集計対象となるWebサイトのURLです
- DAY_BEFORE_END_DATE
  - 集計の終了日から何日前の日付を開始日として使用するかを指定します
- SPREADSHEET_ID
  - 出力先となるスプレッドシートのシートIDです
- SHEET_NAME
  - 出力先となるスプレッドシートのシート名です
- LOWER_LIMIT_IMPRESSIONS
  - サーチコンソールからデータを抽出する際の絞り込み条件となる最低表示回数です
- [設定 > ファンクションの有効化] にチェックを付けて [保存]

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これらの値は直接Craft Functionsのコード内に埋め込むこともできますが、こうして変数として指定することで、コードをいじらずとも変更できます。プログラミングに慣れない方でも、この形式なら間違って変な部分を編集してエラーが出てしまった、というようなミスを減らせるでしょう。

なお、テンプレートのソースコードはGitHubで公開しています。
craft-codes/craft-functions/search-console-pagespeed-insights-seo-report at main · plaidev/craft-codes

ここから、Craft Functionsのコードで重要な部分について、かいつまんでご説明します。

// Search Console APIからデータを取得する関数
async function fetchSearchConsoleData(searchConsole, siteUrl, startDate, endDate, logger) {
  try {
    const response = await searchConsole.searchanalytics.query({
      siteUrl: siteUrl,
      requestBody: {
        startDate: startDate,
        endDate: endDate,
        dimensions: ['page'],
        rowLimit: 100,
        startRow: 0
      }
    });

    return response.data.rows.filter(row => row.impressions >= LOWER_LIMIT_IMPRESSIONS);
  } catch (error) {
    logger.error(`サーチコンソールからデータを取得できませんでした。 ${siteUrl}: ${error.message}`);
    return;
  }
}

// 特定のURLからタイトルとディスクリプションを取得する関数
async function fetchTitleAndDescription(url, logger) {
  try {
    const response = await fetch(url);
    const html = await response.text();
    const dom = new JSDOM(html);
    const title = dom.window.document.querySelector('title')?.textContent || 'No title';
    const description = dom.window.document.querySelector('meta[name="description"]')?.getAttribute('content') || 'No description';
    return { title, description };
  } catch (error) {
    logger.error(`タイトルとディスクリプションを取得できませんでした。 ${url}: ${error}`);
    return { title: 'No title', description: 'No description' };
  }
}

まずサーチコンソールから必要なデータを取得し、Node.jsというプログラミング言語で使用できるツールを使って、そのURLごとのタイトルとディスクリプションを取得しています。また、サーチコンソールからデータを取得する際、今回は表示回数がLOWER_LIMIT_IMPRESSIONSの数字以上という絞り込みを入れています。注意事項の点でも触れましたが、ページスピードインサイトのAPIには1日の実行回数に制限があるため、このように解析するURLの数を絞った方がいいでしょう。他には、掲載順位が一定の順位以上などの絞り込みも考えられます。

ページスピードインサイトのAPIの実行回数制限以外の点でもう少し補足すると、上の方で述べたように、今回のSEO相関分析レポートは、悪くないけど伸び代がまだまだあるコンテンツ向けです。あまりにも掲載順位が低すぎたり表示回数が少なすぎるコンテンツの場合は、もっと基本的なSEO対策に目を向けたり、あるいはそもそもの需要の有無を再検証するべきで、その点からもわざわざレポートに出す必要はないと思います。

あとは、Craft Functionsを実行するための設定も必要になります。今回は、KARTEで閲覧や購入など何かイベントが発生した際に発動するのではなく、1ヶ月か2ヶ月程度に1回の定期実行が一般的かと思われるので、その設定方法をご紹介します。ちなみに定期実行にしておくと同じシートにどんどんデータが追加されてしまうので、比較のためにも実行したらその結果はコピーして別のシートとして保管しておくといいでしょう。

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Craft Functionsの設定タブを開きます
スケジュールを有効化し、cron形式（JST）で実行時間を指定します

cron形式（JST）についてここで詳しくは説明しませんが、例えば毎月1日の11時に実行したい場合は、0 11 1 * *と入力して保存してください。少し実行に時間のかかるプログラムなので、とりあえずすぐ動かして実行結果を確認したい場合は、5分ごとに毎回実行される*/5 * * * *を入力して実行すれば問題ないでしょう。入力欄の下に例があるので、そんなに難しくはないと思います。

ここまでできたら、Craft Functionsを有効化して保存してください。

実際に動かしてみる

実際に動作を確認してみましょう。

問題なく設定できていれば、既にお見せしたようなSEO相関分析レポートがスプレッドシートに出力されるはずです。

スクリーンショット2024-03-0512.26.14.png

改めて見ると、各記事コンテンツのメタ要素から掲載順位にCTR、コアウェブバイタルなどのスコアが一目瞭然ですね。スプレッドシートの条件付き書式を使うことで、コアウェブバイタルのスコアが合格かどうかも、より視覚的にわかりやすくできます。

おわりに

今回は、Craft FunctionsからSearch Console APIとPageSpeed Insights APIを利用して、SEO相関分析レポートを作成する方法について紹介しました。こうやってSEO相関分析レポートをスプレッドシートに出してしまえば、全てをバラバラにいちいち見にいく必要もなく、サーチコンソールの権限がない人でも、スプレッドシートの権限さえもらえれば状況をすぐに把握できて便利ですね。このソリューションが、皆さんのSEO対策を進めるうえで、少しでもお役に立てれば幸いです。

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