こんにちは、Customer Engineerの神谷です！春分の日は、朝にフィジカルトレーニングをした後、午後は家でチャーシューを焼いてました。焼いたチャーシューは、そのままおつまみにしてもいいですが、特にチャーハンに使うと最高です。ちなみにチャーハンは、最初に卵でしっかりご飯をコーティングし、最後にお酒をふりかけると、しっとりパラパラに仕上がります。醤油は、少し焦がしてからご飯と混ぜると香ばしくなっていいでしょう。エビ油とかネギ油を入れても旨いです。

さて今回は、Craft FunctionsからCustom Search APIとPageSpeed insights APIを使い、検索上位記事コンテンツのメタデータとパフォーマンスの相関分析を行う方法をご紹介します。前提として、Custom Search APIとPageSpeed insights（以下、ページスピードインサイト）の知識が必要になるため、あまり詳しくない方は、まず前者はこちらの記事、後者はこちらの記事の冒頭をそれぞれご覧ください。

メタデータとパフォーマンスの相関分析とは？

Custom Search APIとページスピードインサイトについては、ご理解いただいた前提で話を進めます。メタデータとパフォーマンスの相関分析と言われてもピンとこないと思うので、今回はまずアウトプットを最初にお見せします。

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指定した検索キーワードに対し、その検索上位10件の記事コンテンツのURL、タイトルやディスクリプションといったメタ要素、そしてそのURLごとに取得したコアウェブバイタルの結果が、Googleスプレッドシート（以下、スプレッドシート）に出力されています。これが、メタデータとパフォーマンスの相関分析レポートです。以前ご紹介したSEO相関分析レポートのアウトプットと似ているものの、あちらは自社の記事コンテンツの状況を明らかにするものなので、今回のものとは趣旨が違います。

ちなみに2024年3月12日から、コアウェブバイタルの項目が1つ変わり、FIDの代わりにINPが適用されました。まだINPのスコアをAPI経由で取得することはできなさそうだったため、今回はLCPとCLSの2つを取得していますが、取得できるようになれば追加する予定です。こうして得られたメタデータとパフォーマンスの相関分析結果は、次のようなことに役立つと私は考えています。

検索上位記事コンテンツの状況把握

まず、Custom Search APIを使うことで、指定したキーワードにおける検索上位にどんな記事コンテンツがあるか、端末の設定などを除いた客観的な順位を把握することができます。更にそこにページスピードインサイトを組み合わせることで、それぞれの記事コンテンツのコアウェブバイタルのスコアも取得できます。それにより、検索上位記事コンテンツのメタ要素やコアウェブバイタルが、どれだけしっかり作り込まれているか、サイトのテクニカル面まで含めサッと把握できます。

コンテンツ戦略の優先順位考察

上の検索上位記事コンテンツの状況を把握することで、自社のコンテンツ戦略の優先順位をどうするか、その考察や意思決定にも役立つのではないでしょうか。もし、指定したキーワードやトピックにおける検索上位記事コンテンツが、メタ要素やテクニカル面までしっかりしたものが多い場合、自社でそこを狙うことの優先順位は落としてもいいかもしれません。逆に検索上位記事コンテンツの作り込みやテクニカル面の対策が甘かった場合は、そこから狙っていこうなどの意思決定に繋げられる可能性もあります。

あとは長くなるのでここでの説明は割愛しますが、そのキーワードではどのような内容の記事コンテンツが評価されるか、ユーザーの検索意図を読み取っていく際の参考にもできるでしょう。このように、Custom Search APIとページスピードインサイトを組み合わせることで、検索上位記事コンテンツの状況を様々な角度から観察し、自社のコンテンツマーケティングにも活かしていけると思います。

アウトプットイメージ

メタデータとパフォーマンスの相関分析と、それを実施する意義をご理解いただけたら、改めて最終的なアウトプットイメージを見てみましょう。

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今回は「ラーメン」というキーワードに対してその検索上位記事コンテンツ10件を、Custom Search APIを用いて抽出しています。そしてそれぞれのURLに対して、ページスピードインサイトの処理を適用し、コアウェブバイタルを取得しています。コアウェブバイタルのスコアに関しては、スプレッドシートの条件付き書式を用いることで、より視覚的に状況がわかりやすくなるでしょう。ちなみに以前も書きましたが、ラーメンというキーワードを選んだことに深い意味は何もありません。単に私がラーメン大好きだから、そうしただけです。

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構成図は上の通りです。Craft Functionsを起動して、まずCustom Search APIを使った処理を実行して返し、そこから得られたURLに対してPageSpeed insights APIを使った処理を実行して返し、最後にそれを成形してスプレッドシートに出力しています。

前提として、次の点に注意をしてください。

検索結果は、その人のブラウザや端末によって変わる可能性があります
- 特に端末の位置情報をオンにしている場合、それを考慮した検索結果になることがあります
- Custom Search APIを使った場合、そういった条件は無視して一般論における検索結果が出てくるとお考えください
Custom Search APIには、1日に使用できる無料枠の上限があります
- 2024年3月現在、GCPプロジェクトのCustom Search APIのページを見ると、無料枠は1日に100件の検索リクエストとなっています
- 例えば今回のように、1つのキーワードに対して上位10件を抽出する場合、1日に10回までなら合計リクエスト数が100回となり、無料枠の範囲内に収まります
PageSpeed insights APIには、1日のリクエスト数に上限があります
- PageSpeed insights APIには、1日25,000回のリクエスト上限があります
- また、1日で25,000回を超えなくても、一気に大量のリクエストを送るとエラーが出る可能性があります
- そこでCustom Search APIからURLを抽出する際に全てではなく、何件抽出するか絞り込むことで、ページスピードインサイトの処理を実行する際に、エラーが出る可能性を減らせるでしょう

設定手順

設定の手順は次の通りです。

Googleサービスアカウントを作成する
Custom Search API・PageSpeed Insights API・Google Sheets APIの3つを有効化する
Custom Search Engineを取得する
GCPプロジェクトでAPIキーを取得する
Googleサービスアカウントに対象スプレッドシートへの権限を付与する
GoogleサービスアカウントのJSONキーファイルの中身を Craft Secret Manager に登録する
Custom Search APIとPageSpeed insights APIを使い検索上位記事のメタデータとパフォーマンスの相関分析レポートを作るためのCraft Functionsを作成する

1. Googleサービスアカウントを作成する

GoogleのサービスでAPIを利用するために、Googleサービスアカウントを作成します。

Google Cloudのコンソール画面を開く
- アカウントやプロジェクトが無い場合は作成してください
[IAMと管理 > サービスアカウント > サービスアカウントを作成] から適当な名称のサービスアカウントを作成

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作成したサービスアカウントを選択し、[キー > 鍵を追加 > 新しい鍵を作成] からJSON形式のキーファイルをダウンロード

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ダウンロードしたキーファイルは、後の手順で利用します。

2. Custom Search API・PageSpeed Insights API・Google Sheets APIの3つを有効化する

続いて、Custom Search API・PageSpeed Insights API・Google Sheets APIを有効化します。その利用にあたっては、GCPプロジェクトを利用する必要があります。

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適当なGCPプロジェクトを作成または選択し、[APIとサービス > 有効なAPIとサービス > APIとサービスの有効化またはライブラリ] からCustom Search API・PageSpeed Insights API・Google Sheets APIの3つをそれぞれ検索し、有効化します。

3. Custom Search Engineを取得する

単にCustom Search APIを有効化しただけではまだ使うことはできず、Custom Search Engineを取得する必要があります。

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まず、Custom Search Engineの設定画面にアクセスしてください
赤枠で囲った、右上の追加ボタンをクリックします

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検索エンジン名は、適当な名前をつけてください
検索の対象は、特定のサイトまたはページを検索を選択し、何か適当なURLを入力します
今回は便宜的にhttps://www.google.co.jp/を入れていますが、後で削除するので何でもいいです
下の作成ボタンを押して、カスタム検索エンジンを作成します

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カスタム検索エンジンが完了すると上の画面が出ますが、表示されたコードは今回は使いません
その右下のカスタマイズを押してください

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作成したカスタム検索エンジンの概要が出てくるので、検索エンジンIDを控えておいてください
同じ画面で少し下にスクロールして、検索するサイトを見てください
カスタム検索エンジン作成時に入力した検索対象のURL、今回の例ではwww.google.co.jp/を削除します

4. GCPプロジェクトでAPIキーを取得する

続いて、Custom Search APIを有効化したのと同じGCPプロジェクト内で、APIキーを取得する必要があります。

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APIとサービス > 認証情報の順にクリックします
上の方にある認証情報を作成をクリックし、APIキーを選択します
するとAPIキーが生成されるので、それをコピーします

取得したAPIキーはCraft Functions作成時に必要なので、忘れずに取っておきましょう。

5. Googleサービスアカウントに対象スプレッドシートへの権限を付与する

Google Sheets APIを有効化したとしても、個別のスプレッドシートに対して自由にアクセスできるわけではありません。スプレッドシート毎に、対象のGoogleサービスアカウントに対して権限を付与する必要があります。

対象スプレッドシートを開き、右上の [共有]ボタンをクリック

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ダウンロードしたキーファイルに含まれるclient_emailの値を入力し、権限には [編集者] を選択して [送信]

6. GoogleサービスアカウントのJSONキーファイルの中身を Craft Secret Manager に登録する

Googleサービスアカウントの認証情報をCraft Functionsから安全に利用するために、Craft Secret Manager に登録します。

[Craft > シークレット] からシークレットを新規作成
[名前] に、わかりやすい名前を入力
ダウンロードしたJSONキーファイルの中身を [シークレットの値] にそのまま入力し、作成
シークレット名をメモしておく

7. Custom Search APIとPageSpeed insights APIを使い検索上位記事のメタデータとパフォーマンスの相関分析レポートを作るためのCraft Functionsを作成する

Craft Functionsのファンクションを作成します。作成手順は次の通りです。

[Craft > ファンクション > 新規作成 > テンプレートから作成] を選択
「 Craft FunctionsからCustom Search APIとPageSpeed insights APIを使い、検索上位記事のメタデータとパフォーマンスの相関分析を行う 」というテンプレートを検索し[取得]ボタンをクリック
[反映] ボタンをクリック
[変数] タブで次の変数の値を設定する
- GCP_API_KEY
  - 取得しておいたAPIキーの値を入力します
- CUSTOM_SEARCH_ENGINE_ID
  - 取得しておいた検索エンジンIDの値を入力します
- TARGET_KEYWORD
  - 検索結果を取得したいキーワードを指定します
- SERVICE_ACCOUNT_KEY_SECRET
  - 利用するGoogleサービスアカウントのJSONキーを登録したシークレットの名前です
- SPREADSHEET_ID
  - 出力先となるスプレッドシートのシートIDです
  - URLがhttps://docs.google.com/spreadsheets/d/123456789/editの場合、123456789がそれに該当します
- SHEET_NAME
  - 出力先となるスプレッドシートのシート名です
- MAX_RECORDS
  - スプレッドシートに出力される行数の最大値です
- [設定 > ファンクションの有効化] にチェックを付けて [保存]

なお、テンプレートのソースコードはGitHubで公開しています。
craft-codes/craft-functions/custom-search-pagespeed-insights-report at main · plaidev/craft-codes

ここから、Craft Functionsのコードで重要な部分について、かいつまんでご説明します。

const searchResults = await getSearchResults(GCP_API_KEY, CUSTOM_SEARCH_ENGINE_ID, TARGET_KEYWORD, logger);
  if (!searchResults) {
    logger.error('検索結果を取得できませんでした');
    return;
  }
  
  const performancePromises = searchResults.flatMap(result => {
    const url = result.link;
    return ['desktop', 'mobile'].map(strategy => getPerformanceData(url, strategy, logger));
  });
  
  const performanceResults = await Promise.all(performancePromises);
  
  const performanceData = {
    desktop: performanceResults.filter(result => result.strategy === 'desktop'),
    mobile: performanceResults.filter(result => result.strategy === 'mobile'),
  };
  
  // スプレッドシートに書き込み
  await writeToSpreadsheet(SPREADSHEET_ID, SHEET_NAME, searchResults, performanceData, authClient, logger);

ここで、一連の処理を実行しています。まずはCustom Search APIを使って特定のキーワードにおける検索結果を抽出し、それぞれの記事コンテンツのURLに対してコアウェブバイタルを取得する処理を非同期でまとめて実施しています。URL1つずつに対して順番に処理を実行する形にしてしまうと、処理時間が長くなってしまうため、このように非同期で行っています。そして最後に、取得したデータをスプレッドシートに吐き出します。

あとは、Craft Functionsを実行するための設定も必要になります。今回は、KARTEで閲覧や購入など何かイベントが発生した際に発動するのではなく、1ヶ月か2ヶ月に1回程度の定期実行が一般的かと思われるので、その設定方法をご紹介します。

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Craft Functionsの設定タブを開きます
スケジュールを有効化し、cron形式（JST）で実行時間を指定します

cron形式（JST）についてここで詳しくは説明しませんが、例えば毎月1日の11時に実行したい場合は、0 11 1 * *と入力して保存してください。少し実行に時間のかかるプログラムなので、とりあえずすぐ動かして実行結果を確認したい場合は、5分ごとに毎回実行される*/5 * * * *を入力して実行すれば問題ないでしょう。入力欄の下に例があるので、そんなに難しくはないと思います。

ここまでできたら、Craft Functionsを有効化して保存してください。

実際に動かしてみる

実際に動作を確認してみましょう。

問題なく設定できていれば、既に示した次のような表示が実現できるはずです。

スクリーンショット2024-03-1918.29.06.png

余裕があれば、Custom Search APIの1日の無料枠には気をつけつつ、色々なキーワードで試してみてください。複数のキーワードで試して、それぞれ別のスプレッドシートで保存しておけば、後で見返しやすいと思います。

おわりに

今回はCraft FunctionsからCustom Search APIとPageSpeed insights APIを使い、検索上位記事コンテンツのメタデータとパフォーマンスの相関分析を行う方法について紹介しました。Custom Search APIの無料枠などには気をつけつつ、気になるキーワードやトピックがあれば是非とも活用してみてください。このソリューションが、皆さんのコンテンツ戦略推進に少しでもお役に立てば幸いです。

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Craft FunctionsからCustom Search APIとPageSpeed insights APIを使い、検索上位記事のメタデータとパフォーマンスの相関分析を行う方法